okayan's diary

season4 TOKYOに引っ越しました・・・

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【朔太郎の代わりに月に吠える・・・艶めかしき形而上学】

s-d3_7165.jpg
Nikon D3 , Ai AF-S Nikkor ED 300mm F2.8DⅡ(IF)+ AF-S Teleconverter TC-14E II


萩原朔太郎の第一詩集『月に吠える』

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「月に吠える犬は、自分の影に怪しみ恐れて吠えるのである。疾患する犬の心に、月は青白い幽霊のやうな不吉の謎である。犬は遠吠えをする。
 私は私自身の陰鬱な影を、月の地上に釘付けにしてしまひたい。影が、永久に私のあとを追って来ないやうに。」
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「自己と他者との間の真に切実なもの」を朔太郎は『道徳』とか『愛』と呼んだ。

それに対し白秋はこの詩集に次のような序文を寄せている。

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月に吠える、それは正しく君の悲しい心である。冬になつて私のところの白い小犬もいよいよ吠える。
昼のうちは空に一羽の雀が啼いても吠える。夜はなほさらきらきらと霜が下りる。
霜の下りる声まで嗅ぎ知つて吠える。天を仰ぎ、真実に地面ぢべたに生きてゐるものは悲しい。
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その6年後。第2詩集『青猫』
この詩集の「序」で朔太郎はこう書いている。

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 私の情緒は激情(パッション)といふ範疇に属しない。むしろそれはしづかな霊魂ののすたるぢやであり、
 かの春の夜に聴く横笛のひびきである。
 ある人は私の詩を官能的であるといふ。或はさういふものがあるかも知れない。けれども正しい見方は
 それに反対する。すべての「官能的なもの」は、決して私の詩のモチーヴでない。
 それは主音の上にかかる倚音である。もしくは装飾音である。私は感覚に酔ひ得る人間ではない。
 私の真に歌はうとする者は別である。
 それはあの艶めかしい一つの情緒──春の夜に聴く横笛の音──である。
 それは感覚でない、激情でない、興奮でない、ただ静かに霊魂の影をながれる雲の郷愁である。
 遠い遠い実在への涙ぐましいあこがれである。・・・・・
 されば私の詩を読む人は、ひとへに私の言葉のかげに、この哀切かぎりなきえれぢえを聴くであらう。
 その笛の音こそは「艶めかしき形而上学」である。
 ・・・・
 詩を作ること久しくて、益々詩に自信をもち得ない。私の如きものは、みじめなる青猫の夢魔にすぎない。
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自信を持っているわけではないけれど、もう『月に吠える』刊行の頃のような迷いはないように思える。


「艶めかしき形而上学」
その意味するところは推し量るしかないのだけれど、その響きだけでなんとも(少なくともボクにとっては)官能的なものである。

春の月夜。
満開の桜の樹の下に立つ。

「月に吠える犬」、そして春の夜に聴く「横笛のひびき」・・

ずっと昔の学生時代の頃から、そして今も。ボクはいつも、このことを考えている。
見上げた夜空に咲く満開の桜と月はずっと昔から変わらない。

だけど過ごしてきた時間と経験してきた人生の積み重ねによって、その時々で考えた末に出す答えは変わっていく、、
変わるのは当たり前だ。それが生きている証なのだから。

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